あの「法学館憲法研究所」ホームページにしるしる憲法が登場!
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20181029_02.html

「憲法占いをしてみませんか?」

<NO WAR>と書かれたオオカミのイラストを、どこかでご覧になったことはありませんか?
これは、絵本作家の降矢ななさんが、わたしたちの活動趣旨に賛同し、描き下ろしてくださった「しるしる憲法」のトレードマークです。

わたしたちしるしる憲法が、いま、活動の中心にしているのは、「憲法占い」のワークショップ。
「憲法を占いにするなんて、ふざけるにもほどがある! なにを考えているんだ」とのお叱りを受けたこともあります。おっしゃるとおりかもしれません。
でも、その言葉の奥にある思いは、わたしたちとそれほど違うわけではないはず……そう思いながら活動を続けてきました。それは、このワークショップを重ねれば重ねるほど確信となりつつあるのです。

2015年の暮れに出会った、埼玉、東京、神奈川に住む女性6人が、しるしる憲法のメンバーです。それぞれ興味も違えば、特技や職業も違うわたしたちは、一人として法律の専門家ではありません。それなのに、どうしてこんなことを始めてしまったのか……。

最初は、講師をお呼びして、わたしたちも参加者といっしょに憲法を学ぶ形式の学習会をなんどか開催しました。
自由の森学園の菅間正道さんには、冤罪事件を取り上げた授業で憲法31〜40条を。
『わたしとあなたのけんぽうBOOK』の水野スウさんには、ひとりひとりが大切な存在である13条を中心に憲法をめぐるいまの状況を。
24条を体現された国際政治学者の畑田重夫さんからは、たくさんの同級生が戦争で犠牲になったことで生まれた日本国憲法を肌身離さずに生きてこられた、まさに97条を学ばせていただきました。
そのほかの講師の方のお話も、憲法がわたしたちにとって、とても大切なものだと実感させてくれるものでした。

たくさんの人に知らせたい、ひとりでも多くの方に参加してほしい、と思うのですが、「憲法の学習会」に1時間(場合によってはそれ以上)の道のりを出かけてくれるのは、すでに大切さをわかっている方がほとんどです。
「憲法って、日々の生活とダイレクトにつながっているわけじゃないから」と思っている方にこそ知ってほしいという気持ちは、憲法の学習会や憲法カフェを主催している方に共通の思いですよね。
日々の暮らしが大切だと、みんな思っているからこそ、憲法を変える・変えないの前に、まずは憲法がわたしたちの生活と切っても切れないものであることを実感してほしいのだけれど……。

わたしたちが憲法の大切さを知識としてではなく、肌感覚として実感したのは……と思い返すと、それはしるしる憲法を立ち上げるきっかけとなった最初の講師、北海道の公立小学校教諭・村越含博さんの授業実践でした。
村越さんの授業は、毎日の生活と憲法の条文をダイレクトに結びつけてしまう、という大胆なものです。そうでした。最初に村越さんの講座を受けたとき、「憲法なのに楽しい!」と目から鱗だったのです。
それをアレンジさせてもらったのが「憲法占い」のワークショップです。他に、「憲法を写真に撮ってみよう!」という内容のものもあります。

もちろん、村越さんが小学校で「憲法占い」をしているわけではありません。そのコピーは、わたしたちが名付けたものです。
自由に解釈する内容であること、朝の情報番組や女性誌には必ずといっていいほど占いコーナーがあること。それほど身近な占いと憲法を結びつけたら、ミスマッチの面白さが出るのではないかと思ったからです。

ほんとうは、ワークショップで出会っていただくのが、インパクトがあっていいのですが、少しだけネタばらしをすると……。

例えば「毎日している『SNSをチェックする』は、憲法のどの条文と関係あるか、占ってください」とたずねると、参加者からは、
・いろんな情報を得る手段だから、23条の学問の自由かな。
・情報をもとに自分の考えを深めたりするから、わたしにとっては19条の思想信条の自由。
・いま、SNSって監視対象なんじゃない? そうすると、21条の2項の検閲はしてはいけないと関係あるよね。
などなど。

ひとりで条文を読むのは難しくても、何人かでどう結びつくのかを想像して自由な解釈をすることで、一つひとつの条文の読みを深めていきます。具体的な生活行動が条文と結びつくことで、わたしたちが憲法で守られていることが実感として理解できるようになります。
参加者から「いつもあたりまえにやっていることが、ちゃんと憲法に書かれていることにびっくりした!」という感想をもらいます。

そして、もうひとつ。
暮らしを土台にすると、護憲の方も、改憲の方も、いっしょに話ができるのです。実際に改憲派の市議会議員さんが参加されて、楽しい時間をすごしたこともありました。これって、なかなか難しいことです。

3人、5人でもできるワークショップなので、自宅でもカフェでも開催可能です。1時間かけて出かけるのが難しい方のところに、わたしたちが伺います。
その中で、埼玉、千葉、神奈川では、「おもしろい! これ、わたしもやってみたい!」そういってくださる方も出てきました。弁護士や憲法学者ではないからこそ、できることがあるのだと思います。

それから、わたしたちが大切にしていることに、「楽しく」「親しみやすく」というキーワードがあります。
怒りをあらわにしている人や、難しそうな雰囲気を出しているところに、寄って行きたいと思う人はそうそういません。楽しく親しみやすい雰囲気があると、「なんだろう?」と近づいてきてくれます。

そんな楽しい雰囲気を醸し出すことと、資金源がなく手弁当で運営しているわたしたちの活動資金をひねり出すこととを合わせて、しるしる憲法オリジナルのドネーショングッズを作っています。

最初におたずねした降矢ななさんの<NO WAR>のオオカミを使わせていただいて、マカロンカラーの缶バッチ、クリアファイルなどがあります。
また、オリジナル条文クッキー(製造:みんなのお菓子屋さん月と田んぼ)は10種類あり、一つひとつ味も異なります。袋の中には条文が書かれたカードが入っているので、憲法が遠いものと思っている方といっしょに食べたりプレゼントにしていただいたりして、ぜひ対話のきっかけにしてほしいと思っています。

Webサイトでは、ワークショップのご案内の他、さまざまな角度から憲法にアプローチをしています。http://www.sirusirukenpou.jp/
伊藤真さんにもご出演いただいた「オオカミニスト」シリーズや、初心者から学べる本、子どもといっしょに学べる本を中心に紹介する「しるしる憲法おすすめBOOKS」などは、随時更新しています。

この秋、わたしたちは、カフェを中心にしるしる憲法のワークショップを精力的に展開しています。それはやはり、憲法がわたしたちの暮らしを守ってくれるものなのだと知らないうちに改憲が進んでしまうことに危機感を持っているからです。ひとりでも多くの方が、日本国憲法をちゃんと知って、自分の考えを持った上で国民投票に臨んでほしいと思っています。

でも。
もし、憲法がいまより人権を制限する方向に変わってしまったとしても、わたしたちの活動が止まるわけではありません。

2015年の秋、町田市民文学館ことばらんどで伊藤真さんが講演されたとき、
「憲法が自民党改憲草案のように変えられてしまったら、どうしますか?」との問いに、伊藤さんは
「わたしは日本国憲法の精神を大切に思っています。それは改憲があっても変わりません。大事にし続けていきたいと思っています」
と答えられた言葉が、心から離れることがありません。
わたしたちも、それを大事にしていきたいと思っています。
憲法を知った上で、それぞれの方が判断することを尊重したいと思いますが、まずは知ってもらうこと……。
だって、わたしたち、しるしる憲法ですから。